ブート処理を行うソフトウェア。
多くのコンピュータシステムでは、メモリ上の実行コードだけを実行できる。しかし、最近のオペレーティングシステムはハードディスクドライブやLiveCD、フラッシュメモリに格納されている。つまり、コンピュータの電源を入れた直後、メモリ上にはオペレーティングシステムは存在しない。コンピュータのハードウェアだけではオペレーティングシステムがやっているような複雑なことはできないので、ディスクからプログラムをロードするというようなことはできない。ここで解決できないパラドックスが生じる。オペレーティングシステムをメモリにロードするためには、オペレーティングシステムがメモリに存在していなければならない。
このパラドックスの解決法は、ブートローダと呼ばれる特殊な小さいプログラムを使うことである。このプログラムはオペレーティングシステムの全ての機能を持っているわけではないが、オペレーティングシステムをロードして起動するための別のプログラムをロードするには十分な機能を持っている。多段階のブートローダがよく使われ、ある小さなプログラムから別の小さなプログラムを呼び出すということを繰り返して、最終的にオペレーティングシステムが起動される。ブートストラップローダという名前は、ブーツのつまみ革を自分で引っ張って自分を持ち上げようとするイメージから来ている。
初期のプログラム可能なコンピュータは、トグルスイッチがフロントパネルに並んでいて、それを操作することによってブートローダをプログラム格納域に置いてからCPUを起動するようになっていた。そうするとCPUはブートローダを実行して、オペレーティングシステムを外部記憶メディアからロードすることができた。
ブートローダの擬似アセンブラコードは以下の8個の命令に単純化できる。