マイクロソフトがWindows XPの後継として販売しているパーソナルコンピュータ用のオペレーティングシステム。開発時のコードネームはLonghorn(ロングホーン)。2006年11月30日にボリュームライセンス契約者へ提供が開始され、2007年1月30日に全世界で発売された。
"Vista" という名称はイタリア語で「眺望」という意味を持つ。マイクロソフトによると「混乱を解消し、あふれる情報を整理し、未来を垣間見せる」とのこと。
Windows Vistaの内部バージョンはWindows NT 6.0である。Windows 2000の内部バージョンがNT 5.0、Windows XPの内部バージョンがNT 5.1だったことを考えると、Windows 2000以来の大きなバージョンアップであることが伺える。その変更の多くは信頼性とセキュリティの向上に関する変更である。
マイクロソフトは過去にほぼ3年のサイクルでWindowsのメジャーバージョンアップを実施していたが、Windows XPに限っては5年もの長きにわたり販売され続けた。その理由としては脆弱性が指摘されていたWindows XPにセキュリティ強化やブロードバンドインターネット接続時代への対応など緊急を要する改良が必要とされ、マイクロソフトは開発リソースをWindows XP Service Pack 2などのアップデート・IEのセキュリティ対策に優先的に回したため、必然的にWindows XPの後続であるWindows Vistaの開発が遅れたという説が有力視されている。
また、長いリリース間隔となったため、当初の構想とは異なり、Windows Vistaには多くの機能が盛り込まれることになり、大幅な延期を重ねた。PDC 2003の段階では2004年第2四半期とされていたが、PDC 2005では2006年後半に出荷予定だった。さらにMicrosoftのプレスリリースで2007年1月に提供すると発表された。
さらに、開発当初の段階から発表されていた主要な機能であるWinFSの搭載が中止となった。Common Security APIなど、標準APIの変更も予定していたが、これもファーストリリースでは提供されず、SP1以降で提供する予定に変更となった。このように、さらに一部の新機能搭載を見送る形になりながらも、最終的に一般消費者向けを2007年1月30日へと再延期し、ようやくリリースされた。なお、Windowsサイドバーとガジェットも削除される予定だったが、リリース目前にして急遽搭載が決定された。
セキュリティ機能の初期設定の検討と検査にはNSAが協力している。また、NATOなどの国際機関もMicrosoftに対して、検査したいとの申し出を行っている。
パッケージ版はWindows XPまでは紙製のケースだったが、Windows Vistaからはプラスチック製の化粧箱に変更された。この変更はディスクやマニュアルなどを安全に保管することを目的に行われたものである。また、これを機に、マイクロソフト社が販売するPC用ソフトウェア製品は、全てこのパッケージで統一された。