物理障害(ぶつりしょうがい)とは、データ障害のうち、ハードウェアなど機器自体に障害が発生したもの。
ヘッドクラッシュや、PCB(ハードディスクドライブの基盤)不良、スピンドルモーターの不良やベアリングの焼きつき、プラッターのアライメントが狂ったもの、ハードディスクドライブのファームウェア不良、メディアダメージや不良セクタ、メディアの熱膨張によるオフトラックなどは物理障害に該当する。
上記のような故障が発生した場合、ハードディスクドライブが異音を発する、アクセススピードが著しく低下する、ハードディスクドライブがスピンしない、ハードディスクドライブがBIOSで認識されないなどの症状が代表的である。また、ハードディスクドライブを水没させてしまったり、火災などで燃えてしまった場合、ハードディスクドライブを落とすなどして外的な衝撃を与えてしまった場合や、停電や強制終了などによってシステムを正常に終了させられなかった場合や、高温・多湿な環境でハードディスクドライブを長時間動作させた場合、経年劣化などによっても発生する。
論理的な障害であれば、市販ソフトを利用することによって、データの復旧が可能になるケースもあるが、ヘッドクラッシュなどの物理障害は、クリーンルームなどのクリーンな環境でハードディスクドライブを分解し、ハードウェア的な修復措置を実施しなければデータを復旧することはできず、ファームウェアの不良や、システムエリアの不良なども、特殊ツールを用いて復旧作業を行なう必要がある。
物理障害が発生したハードディスクドライブは、通電してドライブをスピンさせるだけで、プラッターへの損傷が拡大し、復旧の可能性が低下するケースもあることから、データを早期復旧したい場合は設備機械の整っている専門のデータ復旧業者へ復旧する必要がある。国内で物理障害に対応しているデータ復旧業者は数社しかいないといわれており、一般に障害の種類を論理障害か物理障害かなど自己診断する事は危険行為であり、みだりに自己復旧を試みようとするとデータ復旧の可能性を著しく低下させる恐れがあるため慎重になる必要がある。