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HDDからデータを取り出す方法|起動しないパソコンから安全にコピーする

パソコンが壊れても、HDDの中身は無事なことがあります。HDDが安定して読めるなら、別のパソコンにつないでコピーできます。ただし、読めない兆しがあるなら、取り出し作業そのものを止めます。

HDDとUSB変換アダプターのイメージ
目次 全10章

カチカチ音がする、読み込みエラーが出る、接続が切れる、落としたり濡らしたりした、という場合は、取り外しや電源の入れ直しで状態が悪くなることがあります。データの大事さに応じて作業を止め、相談を考えてください。

この記事でいう「取り出す」とは

正常に読めるHDDのファイルを、別のドライブにコピーすることです。消したファイルや、RAW、壊れたパーティションをソフトで解析する作業とは違います。HDDの金属の密閉された蓋を開けることは扱いません。

取り出してよい状態と、止める状態

まず、パソコンの故障とHDDの故障を分けて考えます。電源や画面が壊れても、HDDのファイルは残っていることがあります。逆に、画面がつくパソコンでも、HDDに異常が起きていることもあります。

いまの状態考えられること最初にすること
パソコンは起動しないが、HDDに異音も衝撃の覚えもないパソコン本体の故障かもしれないバックアップを確かめ、分解できる機種か、暗号化されているかを調べる
別のパソコンにつなぐと、ファイルが安定して開ける普通のコピーで取り出せる元のHDDには保存せず、別の正常なドライブにコピーする
容量は出るが、一覧が遅い、コピーが止まる読み取りの障害や接続の不安定さ大量のコピーや繰り返しのスキャンをやめ、状態を記録する
新しい大きなクリック音、擦れる音、焦げたにおい、落とした物理的な故障電源を切る。分解やつなぎ直しはしない
BitLockerの回復キーや、ロック解除を求められる暗号化されているキーの保存先を確かめる。初期化しない
「初期化しますか」「フォーマットする必要があります」形式の違いや、管理情報の障害など実行しない(フォーマット要求が出たとき)

バックアップが残っていれば、分解しなくていい

OneDriveやiCloud、会社の共有フォルダー、NAS、以前使ったUSBメモリ、写真の同期先などを先に探してください。そこから大事なデータが取り戻せるなら、壊れたパソコンを開けるリスクを負う必要はありません。Windowsの回復やリセットには個人のファイルが消える選択肢もあるので、データを確保する前に初期化しないでください。

壊れかけのHDDには、普通のコピーも負担になる

「一度ファイルが見えたから、全部のフォルダーをコピーしよう」は危ないことがあります。読み込みが何度も止まるHDDに大量の読み取りをかけると、状態が悪くなることがあります。大事なデータがあって、異音や不安定さがあるなら、コピーもS.M.A.R.T.の長時間の検査もやめてください(BUFFALOの注意)。

用意するものと、つなぎ方の違い

正常なパソコン、十分な空きのあるコピー先のドライブ、ドライバーなどの工具、HDDに合うUSBケースや変換アダプターを用意します。コネクターの形だけで選ぶと、規格や電源の条件が合わずにつながらないことがあります。

取り出すもの使う機器の例とくに気をつけること
2.5インチ SATA HDDSATA–USB変換アダプター、2.5インチ用ケースUSBの給電の条件と、ドライブの厚さ
3.5インチ SATA HDD3.5インチ対応で外部電源付きのケースやドックUSBの電力だけでは足りない。合うACアダプターを使う
古いIDE(PATA)HDDIDE対応の変換機器と別電源ピンの数、ジャンパーの設定、部品の破損
M.2 SATA SSDM.2 SATA対応のケースNVMe専用のケースでは動かないことがある
M.2 NVMe SSDNVMe対応のUSBケース発熱、規格、暗号化の条件
NAS・RAIDのディスク1台ずつパソコンにつながない並び順、暗号化、RAIDの構成情報を守る必要がある

3.5インチHDDには、電源アダプター付きのケースを

デスクトップパソコンの3.5インチHDDは12Vの電力も必要とするので、USB–SATAのケーブルだけでは動かないのが普通です。電源の仕様が合っているかを確かめ、付属かメーカー指定のACアダプターを使ってください。電圧の違うアダプターを流用しないでください。USBにつないで回らなくても、すぐにHDDの故障とは言えません(センチュリーのHDDケースのFAQ)。

SATA・IDE・M.2・NVMeを混同しない

2.5インチと3.5インチは大きさの区分、SATAとIDEは接続の方式の区分です。M.2は形の名前で、中身がSATAかNVMeかは別の話です。型番、ドライブのラベル、パソコンメーカーの仕様書を照らし合わせてください。合わないコネクターに押し込んだり、むき出しの基板に金属の工具を当てたりしないでください。

コピー先は、別のドライブに

元のHDDに空きがあっても、その中をコピー先にはしません。正常な外付けSSDや、別のパソコンの内蔵ディスクなどを用意します。コピー先の形式にも注意が必要で、FAT32では4GBを超えるファイルを保存できないので、大きな動画があるならexFATやNTFSの媒体を使います。コピー先をフォーマットし直す場合は、そこにあるデータが消えることを確かめてからにしてください。

起動しないパソコンから、内蔵HDDを取り出す

起動しないパソコンから内蔵HDDを取り出し、ケースにつないで別のパソコンでコピーするまでの流れを示した図
編集部作成の模式図。メーカーの手順を優先してください。
  1. パソコンメーカーの分解・保守の説明書を確かめます。開けられる構造か、ストレージを交換できるか、ネジやコネクター、バッテリーの扱いを見ます。保証や会社の管理、借りているパソコンかどうかにも注意してください。最近の薄型ノートパソコンには、ストレージが基板に直接付いていて取り外せないものがあります。その場合は分解を進めず、メーカーか専門業者に相談します。
  2. 完全にシャットダウンし、電源を切り離します。電源が入ったまま開けないでください。ACアダプターや周辺機器を外し、取り外せるバッテリーはメーカーの指示に従って扱います。内蔵バッテリーや電源まわりに手を入れる必要があるなら、知識がないまま続けないでください。静電気に気をつけ、安定した台の上で作業します。
  3. 取り外す前に、元の状態を写真に撮り、コネクターやネジ、ドライブの位置を記録します。ケーブルは線を引っ張らず、コネクターを持って外します。強い力が要るなら構造が違うかもしれないので、手を止めます。落としたり濡らしたりしたパソコンや、異音のするHDDでは、取り外しとつなぎ直し自体がリスクになるので、自分では作業しないでください。
  4. 規格に合うケースやドックに入れ、別のパソコンにつなぎます。3.5インチなら合う外部電源を使います。Windowsではエクスプローラーの「PC」、MacではFinderのサイドバーにボリュームが出るかを見ます。初期化や修復は最初から実行しません。つないだ直後に大きな異音や切断が起きたら、差し直しを繰り返さずに止めます。
  5. 普通に読めるときだけ、別のドライブにコピーします。まず写真を1枚、文書を1つといった少しのファイルが開くかを確かめ、読み込みが安定していれば、大事なフォルダーから別の媒体にコピーします。「移動」や「切り取り」ではなく「コピー」を使い、元のHDDはあとで調べ直せる状態のまま残しておきます。

Windows 11でのコピーの仕方

HDDがエクスプローラーで安定して開ける場合の手順です(Microsoftのファイル移動の説明)。

元のHDDとコピー先を見分ける

Windowsキー+Eでエクスプローラーを開き、「PC」から元のHDDを探します。ドライブ文字はつないだ順番で変わるので、「D:だから元のHDD」とは決めず、容量、ボリューム名、中のファイルで見分けます。コピー先の正常なドライブも別につないでおきます。

必要なデータを選ぶ

以前Windowsが入っていたHDDなら、ふつうは「Users」→「(ユーザー名)」の中の「デスクトップ」「ドキュメント」「ピクチャ」「ダウンロード」「ビデオ」などが候補です。メールソフトのデータや、仕事のアプリのプロジェクトが別の場所にあることもあります。Windowsのシステムファイルやメーカー独自の回復領域は、個人のデータとは分けて考えます。

コピーして、別のドライブに貼り付ける

必要なファイルを選んで右クリックの「コピー」(Ctrl+C)を使い、コピー先のドライブのフォルダーで貼り付けます(Ctrl+V)。「切り取り」や、同じドライブの中での移動は使いません。一度に大量に選ぶ前に、大事なものから少しずつ進めてください。

エラーが出たら止める

「ファイルを読み取れません」「CRCエラー」「I/Oデバイスエラー」が出る、コピーの速さが長い時間0のまま、HDDの接続が何度も切れる。こうしたときは、再試行を繰り返さないでください。Windowsの「スキャンして修復」、CHKDSK、フォーマット、デフラグは、データを守るための最初の手段ではありません。

コピーしたファイルを開いて確かめる

コピー先で写真を開き、動画が最後まで再生できるか、Word・Excel・PDF・仕事のファイルが読めるかを確かめます。ファイル名や容量が表示されるだけでは、中身が正常とは言えません。大量の大事なデータなら、フォルダーの数やコピーの記録も照らし合わせ、必要なら重要なファイルのハッシュ値を比べてください。

MacのFinderで取り出す

元のディスクを残したまま、別のディスクへファイルをコピーする原則を示した図
コピーの原則を示す模式図。

合うケーブルでドライブをつなぎ、Finderのサイドバーの「場所」から選びます。Finderに出なくてもすぐに初期化はせず、ディスクユーティリティの「表示」→「すべてのデバイスを表示」で情報を見ます。マウントされない、容量がおかしい、認識が途切れるといった場合は、診断や修復を急がないでください(Appleの外部ストレージの説明)。

必要なファイルを選んでCommand+C、別の正常なディスクのフォルダーでCommand+Vでコピーします。ドラッグでもコピーできますが、保存先によって動きが変わるので、元のファイルを残したいなら「コピー」になっているかを確かめてください。

Macで使っていたAPFSやHFS+のボリュームは、Windowsでは標準で見えません。それだけで故障とは言えないので、Macでファイルが安定して開けるなら、Macで別の媒体にコピーしてください。Windowsの「フォーマットしますか?」に従うと、データを失います。

BitLocker・FileVault・アクセス権で読めないとき

BitLockerの48桁の回復キーを探す

別のパソコンにつないだWindowsのドライブで、BitLockerのロック解除を求められることがあります。回復キーはふつう48桁で、画面に出ている「回復キーID」と合うものを探します。Microsoftアカウントの回復キーのページ、印刷した記録、会社や学校のIT管理者を確かめてください。Windows Homeでも、「デバイスの暗号化」が有効になっている機種があります。Microsoftは、なくしたキーを作り直すことはできないと明記しています(回復キーの探し方、BitLockerの回復キーがわからないとき)。

古いユーザーフォルダーで「アクセスが拒否されました」と出る

別のパソコンでファイルを開くと、NTFSのアクセス権で許可を求められることがあります。これは暗号化とは別の問題です。もとの持ち主や管理者として正当な自分のデータであることを確かめてから対応します。管理者の権限があっても、BitLockerやEFSの暗号化は解除できません。広い範囲のアクセス権をまとめて変える前に、HDDの状態を確かめてください。

MacのFileVaultや暗号化されたボリューム

FileVaultで守られたMacの起動ディスクや暗号化された外部ディスクを開くには、正しい認証情報が必要です。AppleシリコンやT2チップを積んだMacは、ストレージと本体のセキュリティが深く結びついているため、「内蔵ストレージを取り出してUSBケースに入れる」という一般的な手順は使えないことがあります。機種と暗号化の方式を確かめてください(AppleのFileVaultの説明)。

コピーが止まる、HDDが見えないときは止める

起きていること考えられることどうするか
カチカチ音が繰り返す、振動が変わった機械的な故障電源を切る(異音のときの判断)
コピーが同じところで止まり、I/Oエラーが出る読めない領域、接続の障害など再試行を繰り返さず、原本を守る
RAW、初期化されていない、フォーマットの要求形式の違い、管理情報の障害フォーマットしない(RAW状態とは)
BitLockerでロックされている暗号化の解除が必要キーを探す。初期化やスキャンはしない
HDDは正常そうだが表示されない変換アダプター、電源、OS、HDDなど何度もつなぎ直さない(認識しないときの確かめ方)

フォルダーの一覧が一度見えても、長時間のコピーに耐えられるかはわかりません。少しコピーした段階で読み込みの異常や異音が出たら、そこでやめてください。物理的な故障が疑われるなら、丸ごとの複製や大きなスキャンさえ危ないことがあります。故障した媒体から専門的に複製を取るのは、家庭でのコピーとは別の作業です。

CHKDSKの修復やディスクユーティリティのFirst Aidは、ファイルシステムのつじつまを合わせるための機能で、ファイルの救出を保証するものではありません。たった一つの原本に、バックアップの前に実行しないでください(不良セクタとは)。

SSD、NAS・RAID、録画用HDDは手順が違う

SSDにはSATAとNVMeがあり、M.2という形だけでは見分けられません。消したファイルを戻せるかどうかはTRIMや暗号化、コントローラーの処理しだいですが、古いSSDから今あるファイルを普通にコピーするのは別の作業です。合わないケースに無理に差さないでください。

RAIDでは、データが複数のディスクに分かれて保存されていることがあり、1台ずつ別のパソコンにつないでも、普通のファイルとしては読めません。取り外した順番、ディスクの配置、RAIDレベル、暗号化の状態が大事な情報になります。電源の入れ直し、ディスクの入れ替え、リビルドで状況が悪くなることがあるので、「NAS・RAID障害の初期対応」を先に読んでください。

テレビの録画に登録した外付けHDDは、テレビ独自の管理方法や暗号化、機器とのひも付けが関わっています。パソコンで「初期化してください」と出ても実行せず、録画機器の取扱説明書や、ダビング・移行の機能を確かめてください。ケースから取り出しても、録画データが自由に読めるようになるわけではありません。

参考情報

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この記事について

データトラブルナビ編集部が、Microsoft・Apple・BUFFALO・センチュリーの公開資料をもとにまとめた一般向けの解説です(確認日:2026年11月2日)。図は説明用の模式図です。

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